GPS端末で居場所を検索する行為はストーカー規制法違反?

 

53歳の男性が,2016年4月から2017年2月まで,元交際相手の女性の車にGPS端末を取り付けて,携帯電話とパソコンで600回ほど元交際相手の女性の位置情報を検索していたそうです。

 

この男性は,ストーカー規制法違反で起訴されました。

 

 

さて,この男性の上記行為はストーカー規制法違反で禁止されている行為に該当するのでしょうか?

 

 

 

ストーカー規制法違反では,恋愛感情が満たされないことへの報復を目的とした家や職場,学校など相手が普段いる場所の近くでの見張りやつきまとい,待ち伏せなどを禁じています。

 

 

この男性の裁判では,GPS端末を使って元交際相手の女性の居場所を検索することがストーカー規制法違反の「見張り」にあたるかが争点となりました。

 

 

 

2020年7月30日,

 

最高裁判所は,

 

男性の上記行為はストーカー規制法違反の禁止する「見張り」には該当しないと判断しました。

 

 

 

最高裁判所は,判決理由で,ストーカー規制法が禁止する「見張り」の定義を,「機器を使う場合であっても,相手が普段いる場所の付近という一定の場所で,動静を観察する行為」と判断し,GPS機器を取り付けて遠方から居場所を検索している行為はストーカー規制法違反の禁止する「見張り」には該当しないと判断しました。

 

 

 

 

ストーカー規制法違反は,住居や勤務先など相手が普段いる場所の近くで見張ることを禁止しているものの,GPSに関する禁止条項はありません。

 

 

GPSを使用したストーカー事件も少なからずあるため,今回の最高裁判所の判断を受けて,国会による法改正が急がれることでしょう。

 

 

 

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